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2023年の学術ニュースまとめ:研究と学術出版における重要な動向を振り返る

2023年は、学術出版界における記念碑的な変化に満ちた年でした。改めて、学術研究において注目された出来事、マイルストーン、そして残された課題も含め、研究と学術出版に関する2023年の学術ニュースを総括したいと思います。

2023年が、人工知能(AI)の潜在的脅威と科学的な不正行為に対し、協働で対処する必要に迫られた年であったことは間違いなく、その結果、アカデミック・インテグリティ(学術的な誠実さ)の基盤が強化されることとなりました。2024年の活動を計画するにあたり、学術業界における重要な出来事を振り返り、将来への影響に備えておきましょう。

1. アカデミック・インテグリティの遵守

a. Web of Scienceが50以上の学術雑誌(ジャーナル)を削除

2023年、残念ながら投稿された論文の撤回が急増し、科学的不正行為が増加しましたが、学術コミュニティはこの問題に対する抵抗力を得ることとなりました。撤回の理由としては、データ操作や査読プロセスにおける不正などが挙げられています。3月には、Web of ScienceがJCR(Journal Citation Reports)2023年版に掲載するジャーナルの見直しを発表し、単年度としては異例の多さである50誌以上のジャーナルの掲載を取り消すという大胆な措置を取ることで、質の高い学術記録の維持に取り組む姿勢を示しました。

b. クラリベイト社、高被引用論文著者リスト2023年度を発表

クラリベイト社は、様々な分野における6,849人を7,125の高被引用論文著(Highly Cited Researchers; HCR)として選定したと発表しました。Essential Science Indicators(ESI)の複数の研究分野で評価されている研究者もいるため、受賞数が人数を上回っていますが、HCR専攻の段階で、最終リストから1,000人以上の研究者が除外されたことは、コミュニティに衝撃を与えました。

c. Scopusに67誌以上の「ハイジャック」ジャーナルが掲載されていたことが発覚

ドイツ ベルリン自由大学の研究者Anna Abalkina氏が11月に発表した調査結果によって、2013年以降、2023年9月までの時点でScopusには少なくとも67の Hijacked Journal(ハイジャックジャーナル)が掲載されていることが明らかになりました。

ハイジャックジャーナルとは、正規の出版物が悪徳業者によって乗っ取られ、論文1本あたり高額な掲載料を著者に請求することで不正な利益を得ようとするもので、「クローンジャーナル」とも呼ばれています。ハイジャックジャーナルは、正当なジャーナルになりすまして著者を欺き、研究費を不正に奪いとるだけでなく、信頼あるジャーナルに論文を掲載する価値を著者に提供しないばかりか、当該著者の評判を落としかねないリスクを与えます。指摘されたジャーナルの中には、Scopusが数百の論文を掲載しているものもあり、コミュニティ内で懸念が広がりました。いくつかのジャーナルには正当な研究論文が掲載されていましたが、盗用・剽窃、捏造、査読なしの出版も報告されています。この調査では、ハイジャックジャーナルに対抗するため、学術出版界が協調して行動するよう呼びかけています。

d. 2023年の撤回論文数が1万本を突破

2023年は、撤回された論文の数が1万本を超え、記録を更新しました。この衝撃的な事実は、研究倫理とコンプライアンスの悪化に対する懸念を呼び起こすとともに、研究の最高水準を維持する連帯責任を強調するものとなりました。

2. 持続可能な出版界の未来のために~新しい査読システムの推進

米国情報標準化機構(NISO)が新しいピアレビュー用語集を導入

2023年の重要な変化の一つに、査読プロセスの透明性向上を目的とした新しい査読用語と基準の導入が挙げられます。2023年7月5日、米国規格協会(ANSI)と米国情報標準化機構(NISO)は、査読プロセスにおけるコミュニケーションのための明確な定義や推奨事項を提供するため、査読に関する標準用語集Peer Review Terminology Standard(ANSI/NISO Z39.106-2023)を公表しました。より説明責任のあるシステムを確保したジャーナル論文の査読のために設計されましたが、学術的知識の普及のための情報源へと拡大することも意図しています。

3. オープンアクセスの促進による学術コミュニティの強化

a. Plan S、転換ジャーナル(Transformative Journals)プログラムから68%を除外

転換(または移行)ジャーナル(Transformative Journals)とは、オープンアクセス(OA)への移行を加速させる方法として、2019年にシュプリンガー・ネイチャーによって提唱されたもので、完全OAへの移行を約束している購読あるいはハイブリッドジャーナルを指します。

2023年 1 月、Plan Sは転換ジャーナルプログラムの対象の中から2022年に目標を達成できなかったジャーナルについては、2023年末までに同プログラムから除外すると発表しました。転換ジャーナルプログラムでは、対象のジャーナルに対して絶対値で少なくとも5%、相対値で15%以上のOAコンテンツの年間増加率を満たすことが求められていますが、6月に転換ジャーナルの状況分析を発表した際に、この目標が達成できたのは、695誌(全体の30%)で、1,589誌(約68%)は達成しなかったと示しています。この中にはシュプリンガー・ネイチャーの1,329誌(77%)、エルゼビアの115誌(63%)、米国化学会(ACS)の36誌(56%)も含まれています。

Plan Sは、2024年1月1日をもって、これらの転換ジャーナルへの資金援助を終了するとしています。

b. 米国化学会(ACS)とエルゼビア、オープンアクセス出版に関する新方針を発表

ACSは2023年10月にArticle Development Charge(ADC)を導入し、希望著者はこれを支払うことによって論文の最終稿をエンバーゴ(公開猶予期間)なしでグリーンOAとして公開できるようにしました。この権利を得るためには2,500ドルを支払う必要があり、著者に高額な請求をするADCへの批判が噴出しましたが、ACSがADCを導入したのは、著者に権限を与えつつ、エンバーゴなしのグリーンOAを求める資金提供者の要求に応えるためです。ADCは、Read and Publish契約の対象となっていない著者や、ゴールドOA出版のための資金が得られない著者などへの支援を想定したオプションであるとしており、ACSはこの新たなオプションは、ゴールドOA及び12か月のエンバーゴを伴う従来のグリーンOAの中間になると位置づけています。

ADCでは、投稿原稿が査読に回った時点で2,500ドルを支払うことになりますが、この支払いにより最初の投稿から最終的な編集決定(アクセプト)に至る出版サービスの費用がカバーされており、著者は受理された原稿をCC BYライセンスで直ちに共有することができます。
同じく2023年10月に、エルゼビアは、低中所得国向けにOA出版の論文掲載料(APC)を低額に抑える地理的価格設定(Geographical Pricing for Open Access:GPOA)モデルを、2024年1月からゴールドOAジャーナルの142誌を対象に、試験導入すると発表しました。

GPOAモデルは業界初の試みであり、著者が拠点とする国の一人当たりの国民総所得(GNI)に基づき、経済状況や平均所得に合わせてAPCの価格を調整し、低中所得国の著者にとってOA論文のAPCをより手頃な価格に抑えることを目的としています。低所得国ではAPCの全額免除、中所得国では定価の20~90%の範囲での割引価格が設定されるとなっています。エルゼビアによるこの取り組みは、学術出版のより公正で世界的に公平な価格体系に向けた前向きな一歩です。
これらの革新的なOA資金提供モデルは、OA出版におけるダイナミックな変化の一部です。世界の研究コミュニティに真の利益をもたらすためには、慎重になることも必要ですが、こうした取り組みは、変わり続ける学術的需要に適応し、質の高い研究へのアクセシビリティを強化しようとする出版社の努力を反映していると言えます。

c. cOAlition Sが、Plan Sに続くOAプランを発表

営利団体がオープンサイエンスに貢献する役割を果たす一方で、2020年までの完全・即時オープンアクセスの実現を目指すcOAlitionSは20203年11月、著者に料金を請求することなく、論文のすべてのバージョンとそれに関連する査読報告書を、最初からオープンに出版する、大胆なを提示しました。

この転換は、出版決定において著者に権限を与えることで、コミュニティを基盤とした研究者主導のオープンな研究コミュニケーションシステムを育成することを目的としています。この提案は現在、世界の研究コミュニティからのフィードバックを求めている段階であり、厳格な義務を課すものではありません。OAに関する議論を奨励するものではありますが、Plan Sとは一線を画しています。

4. AIの横断的な利用

a. ICMLが著者にAIツールの使用を禁止

研究や学術論文の執筆において、研究者によるAIへの依存が高まっていることに、コミュニティや関係者は不安を感じています。2023年1月、機械学習の世界トップの国際会議のひとつであるInternational Conference on Machine Learning(ICML)は、著者がChatGPTのような生成AIツールを使って科学論文を書くことを禁止するという方針を発表し、議論を巻き起こしました。AI禁止の方針は2024年に再評価する予定となっています。

b. サイエンス誌と米国科学振興協会(AAAS)が原稿執筆におけるAI支援の禁止を撤回

いくつかのジャーナルは当初、研究者が論文の研究・執筆においてAIツールを使用することを禁止していましたが、2023年11月、サイエンス誌は生成系AI ChatGPTの使用禁止を撤回したと報じました。この決定により、著者はAIツールが作成したコンテンツを投稿論文に含めることができるようになりました。ただし、編集者の明確な許可なしにAIが作成した画像やその他のマルチメディアを使用することはできません。

また、米国科学振興協会(AAAS)の出版部門は、著者がカバーレターと謝辞にAIツールの使用について記載し、方法のセクションに詳細な情報を提示する限り、AIツールを使用することができるとしました。著者は自分の研究で使用したすべてのプロンプトを提示する必要があり、AIsが作成したコンテンツの正確さについて説明責任を負うとともに、潜在的な偏見(バイアス)や剽窃・盗用を避けなければなりません。

新しいガイドラインは、各機関の編集方針の変更を反映してはいますが、原稿の守秘義務違反の可能性が懸念されるため、査読プロセスにおけるAIの使用はまだ認められていません。

5. 学術界における多様性と包括性の促進

歴史的に排除されてきたグループが査読で直面する障壁に関する研究報告

ある研究が、査読プロセスにおいて科学者が直面する根強い格差に光を当て、特定の著者、特に歴史的に排除されてきたグループの出身者が、他者と比較して悪い結果を経験していることを明らかにしました。

この研究では、アジア、非英語圏、社会的・経済的に発展していない国の著者からの投稿論文のアクセプト(受理)率が低いという衝撃的な事実も明らかにされています。

6. 「未来の学術振興構想(2023年版)」公表

日本学術会議が将来を見据えた学術振興のビジョンと構想を提案

日本学術会議が2023年9月に、今後20~30年先を見据えた学術振興のビジョンとそれを実現するための構想を提案する「未来の学術振興構想(2023年版)」を公表しました。

クラリベイトが選出するノーベル賞の有力候補とされる「引用栄誉賞」を2名の日本人研究者が受賞していますが、文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が世界主要国の科学技術活動を分析した「科学技術指標(2023年版)」には、世界的に注目度の高い研究論文「トップ1%論文」「トップ10%論文」の数はともに前年から順位を落としていることが示されており、日本の研究力の低下への懸念は高まっています。人材の面でも、日本の大学院修士課程入学者数は2020年度を境に増加傾向にあるものの、大学院博士課程入学者数は2003年度をピークに長期的に減少しています。研究者が安定して研究できる環境を整備することが重要な課題となっています。

7. その他の学術ニュース

a. 米国国立科学財団(NSF)が研究助成金の査読者への「Golden Ticket」導入を検討

2023年2月、米国国立科学財団(NSF)は、助成金の査読者に、審査期間中に一度だけ同僚の決定を覆すことのできる拒否権を行使できるモデル「Golden Ticket」の試験的な導入を検討していました。

このモデルは、一人の審査員が有望と判断した提案に、すべての査読者の一致を得られなかったとしても、助成金を提供できるようにするものです。この試験的な提案は、助成機関の間で、保守的ではない提案に対しても助成金を提供し、ハイリスク・ハイリターンな提案を育成しようという試みです。NSFは、研究を支援する新しい方法を推進することによって、科学技術の飛躍的進歩の鈍化を避けたいと考えたのです。観察可能な短期的な成否に焦点を当て、市場に近い研究を対象にこのアイデアを試行することを検討しているとのことでしたが、具体的な内容や状況は不明です。

b. CrossRefがRetraction Watchを買収

2023年9月に、国際DOI財団のデジタルオブジェクト識別子公式登録機関であるCrossRefが、米国の非営利団体The Center for Scientific Integrityが運営する撤回論文データベースRetraction Watchを買収したと発表しました。

ジャーナルや論文の数が増加し、論文の撤回状況を把握するのが年々難しくなる中、この戦略的な買収は、撤回論文に関する最大のオープンソースデータベースの構築を可能とし、撤回状況の特定・追跡を効率化することを目的としたものと述べられています。なお、Retraction Watchは、撤回や関連問題の調査とは別にジャーナリスティックな活動を継続し、CrossRefは信頼できる撤回データへのアクセスを容易にすることに注力するとしています。この動きにより、撤回された論文を特定するために出版社や読者が直面している苦労が軽減すると期待できます。

c. クラリベイト、Web of Scienceにプレプリント引用索引を追加

2023年2月、クラリベイト社は、Web of Scienceプラットフォームにプレプリント引用索引「Preprint Citation Index」を導入し、研究者がプレプリントリポジトリを発見、リンクを付けやすくなるようにしました。このインデックスには約200万件(発表当時)のプレプリントが含まれており、2023年中にさらにリポジトリが追加される予定です。

プレプリントとは、査読前に一般公開される研究論文のことです。新しい機能の追加により、研究者は最新のコンテンツに即座にアクセスできるようになります。Preprint Citation Indexは、プレプリントと最終版をリンクさせ、研究者の専門知識の視野を広げるように設計されています。プレプリントへのアクセス向上は、研究プロセスを迅速化し、科学の進歩を促進することが期待されます。

d. 米国で高被引用論文著者(HCR)が減少し中国で増加

2023年の高被引用論文著者(Highly Cited Researchers)のリストから、2018年の43.3%から2023年には37.5%へと徐々に減少していることが明らかになりました。長年、米国が科学研究をリードしてきましたが、近年は中国の存在感が増しています。米国は今も優秀な研究者を多数輩出していますが、中国本土から選出される研究者は、2018年の7.9%から2023年の17.9%と顕著な伸びを示しており、2位の座を確保しました。また、中国科学院は、科学的貢献におけるダイナミックな世界的変化を反映し、研究機関の中でトップとなりました。2023年の発表は、進化する学術貢献の状況において、厳格な基準と透明性のある選考基準を維持するというコミットメントを強調するものとなりました。
技術的なことから哲学的な変化まで、学術業界は目覚ましい変化を遂げつつあります。こうしたトレンドは、現在を形成しているだけでなく、より強固で包括的かつ効率的な研究の未来に向けた基盤を築いていると言えます。

2023年の変革的な出来事やイニシアチブは、学術出版の未来を形作るために反響を呼びました。最後に、エナゴアカデミーにおける新たな取り組みを紹介します。エナゴがこうした学術界の取り組みに積極的に関与したことは、前向きな変化を促進するというコミットメントを反映したものです。

8. エナゴアカデミーからの2023年報告

a. 研究倫理に関するグローバルアンケート調査を実施

エナゴアカデミーは、研究倫理やコンプライアンスに関する研究者の理解を深めるため、2023年11月に研究倫理に関するグローバルアンケート調査を実施しました。調査は終了し、調査結果に焦点を当てた包括的なレポートが近日中に発表される予定です。

b. 「ピアレビュー・ウィーク2023」に参加

査読プロセスの将来性を強化するための積極的な取り組みとして、エナゴは2023年9月に開催された「ピアレビュー・ウィーク(Peer Review Week)2023」に参加し、積極的に世界中の学術関係者との交流を行いました。エナゴは、研究インテグリティと査読プロセスの将来へのAIへの関与についての懸念を認識し、研究者や査読者が出版の未来をナビゲートできるよう支援することを目的として、インフォグラフィック、チェックリスト、パネルディスカッション、最新の倫理基準に関する包括的なリソース、洞察に満ちた論文などを含めた一連のリソースを公開しました。エナゴはこうした取り組みを通して、見識を共有するプラットフォームを提供するに留まらず、査読プロセスの継続的な進化に貢献する重要な存在として研究者の皆様をサポートしていく所存です。

c. 研究者の発言を公開する場となるOpen Platformを開設

Enago Academyは、オープンアクセスの促進と学術コミュニティの強化に向け、4月に「Open Platform」を開設しました。このプラットフォームは、従来の学術的なエンゲージメントにおける境界を超え、アカデミックなブログ作成を促進することを目的としたもので、研究者や学術ライターが100万人以上の読者からなるグローバルな読者と意見を共有することを可能にします。すでに1500人以上が登録しており、コミュニティが形成されつつありますが、世界中の学生、研究者、学者が、学術的なプラットフォームで発編を共有し、志を同じくする人々とつながり、相互に協力することにつながれば幸いです。

d. OAをグローバルに提唱

エナゴアカデミーは、オープンサイエンスに関する有意義な議論を促進するため、2023年10月23日から10月29日まで開催されたオープンアクセスに関連する話題を扱う学術イベントである「オープンアクセス・ウィーク(Open Access Week)2023」に積極的に参加しました。オープンサイエンスの実践に重点を置き、学術コミュニティの利益を最優先することで、知識共有システムにおけるコミュニティ・コントロールの重要な役割を強調する意識を高め、実行可能なステップを提供することを目的とした、さまざまなリソースを発表しました。エナゴのOpen Access Checklistは、ジャーナル「eCancer」の資金の確保に関する参考情報のひとつとして掲載されています。

e. OA調査報告書を発表

エナゴ学術英語アカデミーは、OA出版と「Pay to Publish」モデルに対する認識や言動の評価に焦点を当てた研究リスク評価グローバルアンケート第5弾の結果に基づく、OA調査報告書を発表しました。この調査では、今もなお研究者の間でオープンサイエンスに対する認識が欠如していることが示されています。また、APCの高額化への懸念も浮き彫りになりました。この問題には、潜在的な地理的不平等、購読ベースの出版へのシフト、著者がAPCの低い低品質なハゲタカジャーナル(捕食ジャーナル)に論文を投稿することなども含まれています。調査結果は、APCのための資金や、出版のための助成金にアクセスするためのベストプラクティスに関する研究者の意識のギャップを明らかにするものとなりました。この調査報告に関しては、レポートのサマリー(日本語)を近日中に公開します。

f. Trinka AIがAI Content DetectorとTrinka Paraphraserを発表

ジャーナルが研究者の原稿執筆におけるAIツールの使用を禁止した事例が報告されたのと時を同じくして、学術論文・テクニカルライティングに特化したAI 英文校正ツール「Trinka AI」は、AIが生成したテキストを分析し、研究の完全性を高めるためのツール「AI生成コンテンツ検出ツール(AI Content Detector)」を発表しました。さらに、Trinka AIにパラフレーズ機能(Trinka Paraphraser)を導入し、文法的に正しい文章への書き換えを提案することで、著作物のオリジナリティと明瞭性を確保するのをサポートしています。

g. 研究者のAIに関する意識を問うグローバルアンケ―ト調査を実施

エナゴアカデミーは、研究におけるデータの客観的かつ公平な評価を通じて、研究者のAI技術に対する意識を把握し、出版における自動化の未来を理解するためのアンケート調査結果を発表しました。この調査の結果、約39%は原稿の校正においてAIを搭載したボットのインテグレーション(融合)を支持しており、40%はクロスメディアインテリジェンスを非常に価値のあるものと考えていることが明らかになりました。さらに、回答者全体の77.31%が、数あるAIベースのライティングツール言語モデルの中でもGPT-4の使用を好んでいることが判明しました。しかし、このことはAIが生成したコンテンツの信頼性に懸念を抱かせるだけでなく、研究におけるAIの責任ある使用を訓練する教育プログラムの推進を求めるものでもあります。

h. Copilot機能を持つEnago Readを公開

文献の読み込みや検索に役立つRAxter.ioが、Enago Read(エナゴリード)としてリブランディングされました。文献のサマリー作成や重要ポイントの把握に役立つ機能が搭載され文献の整理・探索がさらに簡単に。さらに、研究プロセスを合理化し、生産性を最適化するAIチャット機能「Enago Read Copilot」も公開しています。

i. 外部イベントへの参加

エナゴアカデミーは、2023年、SSP (The Society for Scholarly Publishing) をはじめとするさまざまな研究機関や学会、団体が主催するカンファレンスに参加しました。また、EASE (The European Association of Science Editors) など英文校正者間の情報交換を促しスキルアップに貢献する団体に記事を寄稿しました。多様なカンファレンスへの参加や情報交換は、見識を共有し、より広い議論に貢献するためのプラットフォームの構築につながっています。

j. Enago Academy が学術ブログ・ウェブサイトのトップ25にランクイン

エナゴ学術英語アカデミーの英語版 Enago Academy は、コンテンツの質、関連性、エンゲージメント、人気などの基準に基づくFeedSpotの25 Best Academic Blogs and Websitesに掲載されました。これは、エナゴアカデミーがニッチな分野でトップクラスのブログサイトであると認められたことを意味しています。さらに、このことは、質の高いコンテンツと信頼できるリソースを読者に提供し、ブログコミュニティにおける我々の信頼性を高めるという我々のコミットメントを証明するものでもあります。エナゴアカデミーの読者にとって、この認定は私たちのリソースの信頼性と権威を保証するものです。
ここ数年、COVID-19パンデミックやウクライナ紛争、ガザでの紛争のように、さまざまな危機的状況に見舞われており、学術研究への影響が避けられないこともあります。社会の変化に加え、技術の目覚ましい発展が進む中、学術研究の透明性や信頼性を確保していくことは極めて重要になっています。

2024年が新たな飛躍の年となることを期待しつつ、エナゴ学術アカデミーは学術出版界の進化に貢献する情報発信に尽力して参ります。

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