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世界的に有名なジャーナルへの投稿には、何時間の訓練が必要?

「世界的に有名なジャーナルへの投稿には、何時間の訓練が必要?」カナダのジャーナリスト、マルコム・グラッドウェル氏によれば、その答えは「1万時間」ということになります。
一般論的にいえば、優れた論文を書くことができたら、たとえ大学院生でも有名なジャーナルへの投稿を目指すべきです。これはエゴやプライドの問題ではありません(とはいっても、もちろんプライドがくすぐられるのは否めませんが)。新しい真実を発見したら、より多くの人に理解し、それを応用してもらうことで、自分を育ててくれている学術界に貢献するのが研究者の義務だからです。
しかし、学期末に提出するレポートや学内の雑誌(紀要)に掲載される論文と、有名なジャーナルに掲載される論文との間には、計り知れないレベルの差があります。それではいったいいつ頃から有名なジャーナルへの投稿を考え始めたらよいのでしょうか?
その答えには、すばらしい研究をすることという以外に多くの要素が関係します。
まず、その研究が、多くの人々から注目を浴びている人気トピックに関する研究かどうか、ということがあげられます。全世界で50人しか興味を持っていないようなトピックでは、どんなにすばらしい研究でも重要視されにくいことは否めません。
次に、論文の英語が流暢に書かれているか、ということも重要です。単に文法的に正しい英語というだけではなく、思わず引き込まれるような英語でないと、他の研究者に対して、自分の研究の重要性をアピールできません。
さらに、参照文献のリストによって、その専門分野全体のことをしっかり把握していることが示されているかどうか、ということも重要な要素です。基本的に“よそ者”は信用されません。自分がその専門分野全体の流れやトレンドをしっかり把握していること、つまり自分は信用できる研究者だということを読者に訴える必要があるのです。
自分がこれらの素質を身につけているかどうかは、実際に有名なジャーナルに論文を掲載したことがある人たちに聞くのが一番です。それが不可能であれば、査読者としての目を鍛え、自分の論文を客観的に批評する力をつけましょう。
そして最後にもう1つ、統計学上の目安をご紹介します。前述のマルコム・グラッドウェル著のベストセラー『天才! 成功する人々の法則』(勝間和代訳、2009年、講談社、原題『Outliers』)によると、頭のよさに関係なく、それぞれの分野でプロになるには、1万時間の訓練が必要になるといいます。学生として論文を書き始めたころから考え、いま取り組んでいる分野で自分が今まで何時間を論文執筆やそのための研究に費やしてきたかを計算し、1万時間を超えていたら有名ジャーナルでの掲載も夢ではありません。
その目安を超えていると判断したら、ぜひ、辛口の批評で有名な身近な人たちに論文の草稿を読んでもらいましょう。「プレ査読」のような投稿支援サービスを使うことも1つの手段です。

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