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AffectとEffectの違い:どう使い分ける?

投稿前に何度も原稿を見直したはずなのに論文で「その指標が器官に与える影響(effect of the indicator on the system)」と書くべきところを、「器官内で影響を受けた指標(the affected indicator on the system)」と書いてしまった、という経験をお持ちの人はそれほど多くないかもしれませんが、「affect」と「effect」は紛らわしいですね。

しかし紛らわしい英単語の意味や使い方をしっかりと把握し使い分けられるようになることが、研究者が研究成果を正しく世界に発信する上で欠かせません。

英語の中でもとりわけ混同される2つの単語-「affect」と「effect」

アカデミックな英語の中には、英語がネイティブでない読み手だけでなく、ネイティブスピーカーたちをも混乱させるような表現が少なくありません。

例えば、「fewer」と「less」、「infer」と「imply」などがそうです。その中でも特に混同しがちな単語が「affect」と「effect」です。

「affect」は、行為を示す動詞として使われることが最も多い単語で、Merriam-Websterの類義語辞典では「influence」が類語として挙げられています。

一方の「effect」は名詞として使われることが多く、一般的な訳語は「結果」や「効果」、「影響」などです。上記の辞典では「outcome」が類語として挙げられています。「effect」はまた、「(変化などを)もたらす」という意味の動詞として使われることもあります。

これら二つの単語は、発音が似ていること、そして、共に「変化」に関わる意味を持つことから取り違えられやすいのです。

  • 動詞としての「affect」は、人や物に対して、「影響を及ぼす」という意味です。
  • 名詞としての「effect」は、何かが行われたり起こったりした結果としての「変化」を意味します。

AffectとEffectの例文

「affect」の用法

「affect」は一般に他動詞として目的語を伴います。つまり、影響を及ぼす対象の人や物を示す必要があるのです。

affectの用例:

The speed of the reaction was affected by the temperature.

(反応速度は温度の影響を受けた。)

「affect」はまた、名詞として、「感情的な反応」、「情動」といった意味合いで使われることもあります。

affectの用例:

The woman’s facial affect indicated that she was distressed by the conversation.

(その女性の表情は、彼女が会話に苦しんでいることを物語っていた。)

「effect」の用法

「effect」は多くの場合、名詞として、何らかの要因や行為の帰結としての、「結果」、「効果」、「影響」の意味で使われます。

effectの用例:

Diet has a major effect on health.

(食事は健康に大きな影響を与える。)

「effect」は、動詞としては変化などを「もたらす」という意味で使われます。「effect change」で使われることが多いので、フレーズで覚えておくとよいでしょう。

effectの用例:

The biology research group effected change through peaceful discussions.

(生物学の研究グループは、平和的な話し合いによって変化をもたらした。)

「effect」と「affect」の違いを覚える方法

  1. 英語では、「effect」と「affect」の違いを、「Remember Affect is a Verb, Effect is a Noun(Affectは動詞でEffectは名詞)」の頭文字 RAVEN(ワタリガラスの意)を使って、覚える方法があります。
  2. Aで始まる「Affect」は多くの場合「Action(動作)」を示す動詞として使われます。
  3. 動詞「affect」は、「impact」のような同義語か、及ぼす影響をより具体的に示す動詞で置き換えることもできるでしょう。例えば、
    The weather affected her holiday plans.
    (天気が彼女の休暇の予定に影響した。)
    は、
    The weather ruined her holiday plans.
    (天気が彼女の休暇の予定を台無しにした。)
    と言い換えることもできるでしょう。
  4. 「effect」が、多くの場合名詞として使われることを覚えておくために、「the effect」のように冠詞を付けて覚えておくのもよいでしょう。
  5. こんな覚え方もあります。
    When you are affected by an accident, the effect is an emergency.(アクシデントに見舞われたとき、その影響は緊急事態となる。)
    頭文字どうし、affect-accident/effect-emergencyを結び付けて覚える方法です。
  6. 以上は、多くの場合「affect」が動詞、「effect」が名詞として使われることや、その際の意味合いを覚えるやり方です。しかし、上述のとおり「感情的な反応」と言った意味合いの名詞としての「affect」、「もたらす」という意味合いの「effect」など、名詞の「affect」、動詞の「effect」も存在するということは念頭に置いておきましょう。

「affect」と「effect」の違いを踏まえた論文執筆

多くの学問領域では、論文は仮説の検証という形を取ります。特定の状況、行動、文脈などが、特定の事象に及ぼす影響を仮定し、それを明らかにするのです。独立変数(X)を特定し、それが従属変数(Y)にどのように影響する(=affect)かを特定するのです。そしてXのYに対する影響する帰結としての「効果/結果(effect)」を示します。
X と Y の測定と定義に関する決定がなされると、適切な統計分析により、提案された効果(effect)の概念と範囲がさらに絞られます。この文脈において、効果(effect)とは、XがYの変化に関与する統計的確率を記述し定量化したものです。管理された環境での観察を組み込んだ研究デザイン(例えば、ランダム化比較試験など)では、観察された結果が他の要因によるものではない可能性が高まります。

「affect」と「effect」の意味や用法について見てきましたが、論文の中で、両者を誤りなく正しく使う最善の方法は、投稿前に徹底的な文法チェックを行うことです。現在、AIを搭載したチェックツールは、性能だけでなく、使い勝手や、時間やコストの効率も飛躍的に向上しています。文法や、単語の選択についてのミスを避ける上で非常に役立つはずです。

「affect」と「effect」を混同してきた方も多いでしょう。他にも、スペルや発音が似ている単語を混同してしまったという経験などのエピソードや、疑問点をお持ちの方は、ぜひ下のコメント欄よりお寄せください。

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