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英文校正の役割と効果-論文のレベルアップを図る

学術論文の投稿準備は緊張の連続です。査読者の高い期待、投稿先ジャーナルの細かいガイドライン、教授の厳しい視線などのプレッシャーの下では、たった1つミスが、それまでの懸命な努力と素晴らしいアイデアに影を落とすことになるかもしれないと思うと冷や汗が出てくることでしょう。そんな時は、英文校正という強力な助っ人を是非活用してみてください。

深い洞察に基づく研究内容・成果が、スペルミス・文法などの間違いや書式の乱れもなく、きれいにまとまった論文を投稿するところを想像してみてください。これを実現するためには英文校正が重要な役割を担っています。この記事では、英文校正の重要性や、校正を依頼または自分で行う際に考慮すべき点をまとめました。

英文校正とは何か

英文校正とは、原稿の最終化や投稿に先立ち、書かれた文書に誤りや矛盾がないか、改善点がないかなどを注意深く確認する作業のことです。この重要なプロセスでは、スペル、文法、句読点、書式、誤字脱字、コンテンツの全体的な表現などを精査し、正確さとわかりやすさを最大限に追求します。

英文校正の本来の目的は、論文の質を高め、文章の誤りを訂正し、矛盾の入り込む余地をなくすことにあります。内容を効果的に伝え、すべての文章を文法的・構文的に正しく記すことで、読者との明確なコミュニケーションを目指します。さらに、英文校正を行うことで、一流の学術雑誌(ジャーナル)に投稿・受理されるような原稿に仕上げることができます。

英文校正の種類

学術論文の校正:学術論文、学位論文、卒業論文、研究論文などの校正。このタイプの英文校正には、適切な引用書式で書かれているかのチェック、参照スタイル(APAやMLAなど)の遵守、参照文献や参考文献の正確性の確認、適切なスペル規則(イギリス英語またはアメリカ英語など)、図表の書式要件のチェック、用語や言語の一貫性の確認などが含まれます。研究者は論文の品質と言語的正確性を確保するための支援を必要とすることが多々有り、学術論文の英文校正サービスには高い需要があります。高品質の言語編集および校正ソリューションを提供するサービスでは、高度な専門知識を持つ専門の校正者が、学術論文や科学論文の原稿に磨きをかけ、明瞭性、正確性、効果的なコミュニケーションを確保するお手伝いをします。

翻訳校正・二言語校正:翻訳校正または二言語校正は、翻訳されたテキストの正確性と品質を綿密に確認し、保証することに焦点をおいた校正です。この校正では、翻訳されたコンテンツを原文と一緒に精査し、意図された意味やメッセージが正確に表現されているかを確認します。熟練した校正者は、両言語を深く理解し、一般的な翻訳上の問題や間違いやすい言い回しに関する知識を持っていることが求められます。ソース言語からターゲット言語への文法規則の誤った適用などのエラーを特定し、修正することも含まれます。例えば、韓国語ではタイトルや見出しを括弧ですが、英語ではタイトルは通常、太字または下線付きで表示されます。オンライン翻訳校正サービスは、経験豊富な校正者の専門知識を必要としている利用者(個人または法人)にとって、貴重なリソースとなっています。

印刷媒体の校正:定評のある校正の一種で、完璧で視覚的に魅力的な出版物を保証する上で重要な役割を果たします。新聞、雑誌、ジャーナル、書籍出版社など、印刷メディアの校正者は、品質とプロフェッショナリズムの最高基準を満たす、エラーのない、視覚に訴える出版物の制作に貢献します。印刷メディアは、印刷物とオンラインの両方で完璧な外観を維持する必要があるため、余白、テキストのサイズ、間隔、フォントの選択などの書式の細部に注意を払うことが不可欠です。

プルーフリーディング(校正)の重要性

言葉には絶大な力があります。しかし、小さな間違いが大きく文章の意味を変容させてしまったり、混乱を生み出したり、本来の意味・意図が失われてしまったりすることがあります。そこで校正が必要となるのです。校正は、錯綜した文章、もつれたアイデア、誤用された単語を特定し、メッセージを合理化する手助けをします。校正を行うことで文章を滑らかにまとめ、読者があなたの考えを明確に理解できるようにします。特に学術論文の校正は、不可欠なステップです。学術論文の英文校正がいかに重要か、6つの役割を記します。

1.信頼性を高める:学術論文は、研究者の知識、技能、専門性を示すものです。内容の誤りは、研究者(学生も含む)としての信頼性を損なう可能性があります。校正は、原稿を洗練し、ミスがないことを保証し、そこに記載されているアイデアを輝かせ、その分野での権威を確立することを可能にする助けとなります。

2.明快さと一貫性を保つ:学術論文では複雑な概念やアイデアを扱うことがよくあります。英文校正を行うことで、論文の中に紛らわしい言葉やあいまいな表現、ぎこちない文章構造、論理上の矛盾などを発見し、修正することができます。文章の明快さと一貫性を高めることで、読者が論文著者の主張を理解し、効果的に議論を交わすことができるようになります。

3.流れと構成の改善:アイデアの論理的な進行を確認し、段落の一貫性をチェックし、セクション間のスムーズな流れを確保することで、よりまとまりのある、構造化された論文に仕上げることができます。これは、読者にとってより魅力的な読書体験につながるとともに、より効率的に読み進めるのに役立ちます。

4.正確さの確保:学術論文では、特にデータの提示、実験の実施方法、研究結果の分析を正確に記すことが不可欠です。校正を行うことで、原稿を完成・提出する前に、事実の不正確さ、数値の誤り、誤った解釈を特定・修正することができます。細部にまで注意を払うことで、研究の信頼性と妥当性が高まります。

5.学術的基準の遵守:学術機関やジャーナルには、ほとんどの紙面で従わなければならない特定の書式ガイドライン、引用スタイル、言語規則が定められています。英文校正は、適切な引用の書式、一貫性のある参照方法、学術的なスタイルガイドの遵守などの重要な側面を含む、学術的な基準を順守しつつ論文が書かれているかを確認するための重要なステップです。所定のガイドラインに従うことで、研究者としての意識の高さと、学術的な慣習を尊重している姿勢を示すことができます。読者を混乱させたり、研究の信頼性を疑わせたりするような矛盾を防ぐためにも、基準に準拠することは大切です。

6.剽窃・盗用の防止:剽窃・盗用は学術界における重大な倫理違反です。校正を行うことで、出典、引用、参考文献を入念に見直し、他者のアイデア、概念、理論が不正に入り込んでいないかを確認し、修正あるいは適切な引用とすることができます。研究者としての学術的誠実さと知的正直さを示し、意図しない剽窃・盗用を避け、研究倫理を守ることは大変重要です。

以下に実際の英文校正の例を示します。英文法だけでなく細部にわたり修正が行われていることがお分かりいただけるでしょう。

出典:英文校正サービス|研究支援エナゴ

英文校正サービスを選択する際に考慮すべきこと

英文校正サービスを選ぶには、考慮すべき重要な要素がいくつかあります。以下の5つの要素を参考にサービスを選択するようにしてください。

1.専門性:自分の専門分野や文章の種類に精通している英文校正サービスを探します。テーマや業界によって独特の用語、慣習、基準がある場合があります。自分の研究分野で校正実績のあるサービスであれば、担当する校正者は文章のニュアンスを理解し、該当分野に合わせた形の正確なフィードバックを提供することができるでしょう。

2.評判:依頼先を決定する前に、校正サービスの評判を調べましょう。過去の顧客からの評価コメントや体験談などを読み、満足度を把握しておきます。評判の良いサービスには肯定的なフィードバックがあり、信頼性、専門性が高く、高品質なサービスを提供していることがうかがえるはずです。

3.納期:ジャーナル投稿に対する納品の期限にも考慮します。校正サービスが依頼者のスケジュールに対応し、ニーズに合った納期でサービスを提供できるかを確認しましょう。ただし、スピードが必要と言いつつも質が悪くては困るものなどは、納期と効率性のバランスを考えて依頼することが重要です。

4.価格と料金体系の透明性:さまざまな校正サービスの料金体系を比較しましょう。値段だけで決めるべきではありません。サービスの内容やレベルを踏まえた価格設定を理解し、予算とニーズに合っているかを確認することが重要です。価格設定や透明性(表面上では記されていない料金や手数料がないかなど)、パッケージに含まれるサービスが明確かを確認してください。

5.追加サービスとサポート:校正サービスに、自分に役立つ追加サービスやサポートがあるかを確認しておきましょう。サービスによっては、建設的なフィードバック、改善のための提案、フォーマットのサポートなどもパッケージに含めている場合もありますが、各社・各サービスには違いがあるので、基本的な校正以外にどのような付加価値があるかを評価してみてください。

これらの要素を考慮しながら、十分な情報に基づき、自分のニーズに最適な校正サービスを選択してください。適切な校正サービスを見つけることで、文章の品質とインパクトを大幅に向上させ、洗練された専門的でミスのない文章に仕上げることができます。

効果的な英文校正を行うためのコツ

有料サービスに英文校正を依頼する際のチェックすべきポイントがわかったところで、次は、自分で英文校正を行う場合に効果的に進めるためのコツを書き出しておきます。

1.時間をあける/休憩を取る:校正を始める前に、執筆した文章から少し離れましょう。休憩をとるなどして時間をあけることにより頭をすっきりさせ、リフレッシュした頭と新鮮な目で文章に向き合うことができるはずです。時間的な余裕があれば、数時間、あるいは1日、離れるのをお勧めします。

2.視点を変える:自分の文章(原稿)を別の視点から見てみます。初めてその文章を見た読者になったつもりで読んでみましょう。このように視点を変えることで、誤りや改善が必要な部分をより効果的に見つけることができるはずです。

3.全体を俯瞰するところから始める:文章の全体的な構成、流れ、まとまりに注目することから始めましょう。アイデアが論理的に表現されているか、内容が明確かつ簡潔にまとめられているかをチェックし、段落や文章の流れがスムーズかどうかを確認しましょう。

4.分割して作業する:文書全体を一度に校正しようとするのではなく、小さなセクションに分割して作業します。分割することで、効率よく集中できるようになり、ミスを見落とすことを防ぎます。

5.チェックリストを使う:校正チェックリストを作成し、校正を行う目安とします。チェックリストには、スペル、文法、句読点、書式、一貫性、明確さなどの項目を含めておき、ミスを見落とすリスクを最小限に抑えましょう。また、チェックリストを使うことで、体系的に校正を進めつつ、すべての重要な側面を確実にカバーすることができるようになります。

6.問題毎に集中して校正を行う:一度にすべての種類のミスを見つけようとするのではなく、一度に1種類のミスに集中して確認するようにします。たとえば、スペルミスをチェックする、文法と句読点をチェックする、明瞭さと一貫性をチェックするなど、それぞれの問題毎に校正を進めます。個々の問題に集中的にアプローチすることは、細部への注意を維持し、誤りを見落とす可能性を減らすのに役立ちます。

7.音読してみる:音読することで、ぎこちない言い回しや回りくどい文章など、黙読ではすぐに気づかないような問題を発見することができます。音読すると文章の全体的な質や効果について新鮮な視点が得られるため、文法的な誤りを発見したり、文章の流れを改善できる箇所を特定したりすることができます。

8.逆(文末)から読む:文章を冒頭から読むのではなく、文末から読んでみます。文章を一文ずつ、あるいは段落ごとに逆から読んでみることは、スペルミスや誤字脱字を校正するのに有用なやり方です。逆から読むと、文章の流れにとらわれることなく個々の単語だけに集中することができるので、通常の読み方(冒頭から読み進む読み方)では見落としてしまうようなスペルミスを見つけることができます。

9.印刷して見直す:可能であれば、原稿を印刷して校正作業を行います。紙面で読むことで、画面上では見落としたミスを発見できることがあります。蛍光ペンなどを使い、訂正や変更があれば印をつけていきましょう。

10.ゆっくり丁寧に読む:十分な時間をかけ、一語一語、一文ずつ丁寧に読むことが肝要です。細部にまで注意を払い、各文章が意味をなしていること、流れがスムーズであることを確認します。作業を急がないことで、着実に包括的で正確な校正を行い、洗練された文章に仕上げることが可能となります。

11.第三者の意見を求める:同業者、同僚、友人に自分の原稿(論文)をレビューしてもらうことも検討してください。新鮮な目で見てもらうことで、自分が見落としている誤りを見つけたり、改善点を指摘してもらえたりすることができます。他人の視点は、どの部分の文章を強化できるかなどにつき、貴重な洞察を与えてくれます。

12.事実と参考文献のダブルチェックする:論文に事実、統計、参考文献が含まれている場合には、必ずその正確性を再確認します。出典、日付、裏付けとなる証拠を確認し、情報の信頼性と最新性を確保しましょう。

13.ツールとリソースを活用する:アカデミック・ライティング専用の文法チェックやスペルチェッカー、信頼できる校正ソフトなどを効果的に活用します。ただし、ツールは絶対的なものではなく、すべてのミスを見つけられるとは限らないことは留意しておく必要があります。これらのツールやリソースは補助的に使われるものです。また、友人や同僚に校正を頼むときも、各人の文章力には一定の制約があることを認識しておくことが重要です。

最近は高精度なツールも出てきており、確認作業を効率化するのに役立っています。同僚など同じ分野の専門知識を有する人に論文を読んでもらうことは、自分とは異なる目線で文章を確認するのに有用です。しかし、学術論文の校正が必要な場合には、校正の意味を熟知し、その作業に必要な知識を持っている専門家の助けを借りることを強くお勧めします。

校正は、時間と忍耐、そして細部への鋭い観察眼、細心の注意を必要とする作業です。校正の重要性を認識した上で実行することで、校正の効果を高め、誤りのない、まとまりのある、完璧に洗練された文章に仕上げることができます。

まとめ

学問の世界では、校正の重要性が過小評価されがちですが、学術論文とは、研究者の知見や研究者の献身、その成果を示すものであり、研究者の実績を輝かせるものです。校正は執筆プロセスにおける重要なステップであり、論文を微調整することで、そのインパクトを最大化することができます。校正は時間と労力を要しますが、論文の質を高め、研究者の考えを効果的に伝え、研究に永続的なインパクトを与えることができます。

適切な校正を行うことで読者を魅了し、他の研究者に成果を示し、研究者としての実績を残しましょう。


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