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クラリベイト社が高被引用論文著者リスト2023年版を発表

信頼性の高いインテリジェンスを提供する世界的リーディングカンパニーであるクラリベイトは、2023年版高被引用論文著者(Highly Cited Researchers™)に選出した7,125件のリストを発表し、様々な分野で世界的に影響力のある研究者6,849人にHighly Cited Researcher 2023を授与しました。(件数と受賞者数の差は同一研究者が複数の必須科学指標(ESI: Essential Science Indicators)の研究分野で選出されたため。)受賞者には、主に臨床医学、生物学、生化学、化学など、多岐にわたる分野の研究が含まれ、クラリベイトのシンクタンクであるInstitute for Scientific Information (ISI)™が、各分野で実質的かつ広範な影響力を示す研究者の業績を称えることを目的として選出しています。

研究の信頼性を確保するための厳格な選考プロセス

選考は、Web of Science™の引用索引のデータを入念に調査するとともに、ISI at Clarivate™の計量書誌学の専門家とデータサイエンティストの専門家の見識を踏まえて行われています。今年は、研究の信頼性に対する新たな脅威に対応すべく、評価プロセスが進化しています。ISIのアナリストは、過去10年分の高被引用論文をレビューし、予備候補者のリストを作成することから始めました。その後、厳密さを期すため、極端なハイパー・オーサーシップ(著者数が極端に多いものや異常に多くの国の著者が関与している論文)や、過剰な自己引用、並外れたグループ引用パターンなどの異常な事象を特定するための質的フィルターを適用し、リストから1,000人以上の研究者を除外しました。

科学的卓越性を牽引する国々と新たな注目国

このリストには67カ国・地域の研究機関から6,849人が選ばれていますが、注目すべきは、これらの研究者の83.8%がわずか10カ国に拠点を置き、そのうち72.7%が上位5カ国に集中していることです。優秀な人材が特定の国に集中していることが浮き彫りになっています。

米国に在籍する高被引用論文著者の割合は37.5%と、2018年の43.3%から徐々に減少しているものの、世界シェアをリードしています。中国は全体の17.9%で2位を維持し、2018年の7.9%から顕著な増加を示しています。

英国、ドイツ、オーストラリア、カナダ、オランダ、フランスは、多少の変動は見られたものの、おおむね順位を維持し、新たに香港とイタリアがトップ10入りを果たしました。高被引用論文著者数の分布傾向は、影響力の高い研究者の国際的な多様性と、グローバルな科学的貢献のダイナミクスの変化を示すものであり、多様な地域からの貢献によりグローバル化した研究状況を反映していると言えます。

所属機関別ランキングでは、中国科学院から270人が高被引用論文著者に選出され、トップとなり、科学的・学術的貢献における世界的なシフトを反映しました。

中国科学院に続いて、ハーバード大学から237人が選出されたほか、スタンフォード大学、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、マックスプランク研究所などの権威ある大学・研究機関が名を連ねています。

上位50機関には、香港大学とフランスの2つの大学、パリ・シテ大学とパリ=サクレー大学が初めてランクインしました。

研究の信頼性を支える未来に向けて

クラリベイト社の発表の中で、研究分析部門の責任者を努めるデビッド・ペンドルベリー(氏は、高品質なデータを維持するためには、技術の進歩や出版状況の変化に適応することが重要であると述べています。また、複雑な学術研究の記録を扱う上で不可欠な、厳格な基準と透明性のある選択基準を適用していくことも強調しています。

2023年版の高被引用論文著者リストの発表は、学術的な卓越性を称えるだけでなく、世界規模で進化する学術的貢献の状況を確認するきっかけとなるものです。しかし、最も重要なことは、困難な状況の中でも研究の信頼性を維持しようとする姿勢を明確に示すことです。

研究インテグリティを維持するためには、研究者一人ひとりの意識が重要です。研究倫理と研究公正に関する知識を確認し、学術界の前向きな変化に貢献しましょう。

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関連情報:
クラリベイト発表(日本語)「クラリベイト世界最高峰の研究者を選出 高被引用論文著者リスト2023年版発表」

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