学術出版におけるChatGPTなどのジェネレーティブAIツールのリスクと可能性

セミナー内容

OpenAIが開発した大規模な言語モデルChatGPTは、コンテンツの執筆、編集、公開の方法を変革しています。他社の開発したツールも数多く発表される中、現行ではChatGPTが最も普及しています。これらのツールを研究出版業界に脅威を与える破壊的なテクノロジーだという見方もあれば、進歩のチャンスと見る人もいます。実際、どちらが正しいのか、それとも中間的な立場が無難か?

このパネルディスカッションでは、学術分野でのChatGPTの使用や学術コミュニケーションに関連する最も切実な疑問のいくつかを解決することを目的としています。オープンフォーラム形式で、研究者やその他学術界に関わる方々が、生成AIツールの利点と限界について、また倫理的な行動規範に違反することなくツールを使用できる範囲についてなど、自由に質問していただける形で進行する予定です。

重点を置いて議論される予定の項目:

  1. アカデミアにおけるAIツール活用の可能性と限界
    1. 効率性・生産性の向上
    2. データ分析・考察の強化
    3. データの偏りや正確性の問題
    4. データプライバシー、知的財産権、セキュリティに関する懸念
    5. 創造性・批判的思考力の喪失の可能性
    6. アイデアの盗用
  2. 研究インテグリティを確保するために気をつけるべき倫理的配慮と学術関係者の役割
  3. AIが生成した文章の説明責任・所有権・品質チェックの重要性
  4. 査読とジャーナルの信頼性への影響
  5. 事例:ChatGPTと人力編集・ファクトチェックの比較
  6. 論文執筆におけるChatGPTの使用に関する出版社ガイドライン
  7. 学術的な使用において文章生成AIツールの責任ある使い方のベストプラクティス
  8. 学術出版業界ができる対策とは?責任ある利用を徹底するための対策、方針、ガイドライン

主な対象者

  • 大学院生
  • 博士課程学生
  • 博士研究員
  • 若手研究者
  • 査読者
  • 編集者など

講師プロフィール

チャビ・チョーハン博士(Chhavi Chauhan)

AI倫理学者、100 Brilliant Women in AI Ethics(WAIE)™ – 2022、グローバル・リーダー、学術コミュニケーション専門家

チャビ・チョーハン博士は、責任あるAI技術の利用と科学研究におけるグローバル・リーダーとして知られる。責任あるAI技術の利用と、その活用が社会的弱者に与える影響について積極的に意見を述べ、博士の主張は多くの業績と出版物に反映されている。デジタル病理学およびヘルスケアにおける産学連携促進に関するホワイトペーパーをはじめ、バイアスのかかったアルゴリズムによる意思決定システムに関するケーススタディ、病理学におけるAI倫理に関するレビュー論文など、AI倫理に関連する複数の出版物を執筆・寄稿し、ヘルスケアとAIに関するブログ記事の執筆やAIと人権に関する報告書への寄稿なども行う。同分野での貢献が認められ、多くの名誉ある賞や表彰を授与され、2022年の「Top 100 Marquee and Seasoned AI & Analytics Leaders」、「Influencers & Practitioners」、Women in AI EthicsTMによる「100 Brilliant Women in AI Ethics 2022」、「AI Makers 150: top 150 AI & Analytics Leaders & Influencers 2021」などに選出。アメリカ病理研究学会(ASIP)、北米デジタルパソロジー学会(DPA)、Open Pathology Education Network(OPEN)、Digital Pathology Association(DPA)、学術出版協会(SSP)などの権威ある組織・団体で理事を歴任。2019年からは、Journal of Molecular Diagnostics (JMD)のContinuing Medical Education (CME) プログラムのディレクターを務めている。

 

ロジャー・ワトソン博士(Roger Watson)

(エルゼビア発行)『Nurse Education in Practice』編集長、中国西南医科大学看護学部学部長、著書は500冊以上

ロジャー・ワトソン博士は、学術出版業界で30年以上の経験を有する。学術出版におけるAIの活用を推奨しており、最近は、出版規範委員会(COPE)の公式サイトでChatGPTのようなジェネレーティブAIツールを学術コミュニケーションに用いることの利点と課題を論じるブログ記事を共同執筆し、出版にAIツールを利用する際の倫理的配慮と透明性の必要性を強調している。Nurse Education in Practice編集長、Journal of Advanced Nursing前編集長の他、現在は、National Conference of University Professorsの会長職(2022-2024年)、WikiJournal of Medicineの編集委員などの役職を担う。オーストラリア、アイルランド、サウジアラビア、中国で名誉教授や客員職を務める。2022年、国際看護編集者アカデミーから看護出版の編集においてリーダーシップを発揮した人に贈られるMargaret Comerford Freda賞を授与。

 

トリンカ・ディクンハ博士(Trinka D’Cunha)

言語学者からAIイノベーターへ転身

トリンカ博士は、Crimson AI社の主任言語学者であり、学術ライティングに特化して設計された次世代英文校正・ライティングアシスタントツールTrinka(トリンカ)の開発者。自然言語処理(NLP)技術を活用した効果的なコミュニケーションを研究中。言語とテクノロジーのインターフェースに関する幅広い経験と理解は、世界中の執筆者を支援するツールの開発に寄与している。

 

アヌパマ・カパディア(Anupama Kapadia)

サイエンスコミュニケーション専門家、エナゴアカデミー編集長

アヌパマ・カパディアは、物理医学とリハビリテーション(整形外科)の専門家であり、学術出版のプロフェッショナル。15年以上編集の仕事に携わり、執筆や編集に関する学術専門家の指導やトレーニングを積極的に行っている。エナゴの編集、査読システム、著者向けサービスを強化することで、顧客および出版社の新しいニーズに応える複数のプロジェクトリーダーを歴任。COPE(出版規範委員会)、ISMTE(国際編集者会議)、EASE(東アジア科学教育学会)などの学術団体の会員でもあり、学術出版コミュニティにおける専門的なネットワークの向上に注力し、出版社やジャーナルに共通するベストプラクティスの確立に貢献。ISMTEとEASEの各種委員会にもボランティアとして積極的に参

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