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大学院への志望動機書で押さえるべき10のポイント

国内外どこの大学院を目指すとしても、志望動機書・パーソナルステートメント(Personal Statement)を書くことは簡単ではありません。該当分野に対する興味と、その大学院に入りたい、プログラム/コースを受講したいという熱意、自分の長所と経歴をポジティブに書けばよいとはいえ、押さえておくべきポイントはあります。今回は、志望動機書を書くときに押さえておくべき10のポイントを紹介します。

志望動機書とは

志望動機書は、あなたが何故その大学院あるいはプログラム/コースに応募するのかという理由と共に、あなた自身のことを示し、該当する研究分野でどのように貢献できるかを伝えるための文書です。

一般的すぎる話、あるいは個人的なことであっても該当のプログラム/コースや学術研究からかけ離れた話を書いてしまうと、応募者がどのような人物で何をしたいのか、該当分野で貢献できるかを見極めるのが難しくなってしまいます。応募者は、何を研究したいのか、自身の興味や経験が対象の分野やプログラムに一致しており、研究の発展に貢献できることを明確かつポジティブに書き記すことが必要です。志望動機書を書き始めるにあたって、次のような質問への答えを考えてみてください。

  • 応募する理由は?
  • 応募対象は自分の興味や経験に一致(適合)しているか?
  • 該当の研究分野にどのように貢献するつもりか?

重要なのは、導入部分で読者の興味を引き、伝えたいことを的確に記すことです。志望動機書は、自分の知識や経験と応募するプログラム/コースとの関係に焦点を絞ります。もちろん、文法、誤字脱字/スペル、句読点の使い方などには十分な注意を払っておく必要がありますので、自分自身で書き上げた文章を何度もチェックするだけでなく、同僚や指導教官らに確認を依頼する時間も十分にとっておきましょう。文章量にも配慮し、必要なポイントを簡潔にまとめ、過度に長い文章になることは避けます。英語で書く場合には、約700ワード、1-2ページ程度でまとめるようにしてみてください。志望動機書の作成には時間がかかりますので、余裕を持って作業に着手することをお勧めします。

志望動機書を書くときに押さえておくべき10ポイント

1. 自分自身について

まずは、応募者である自分自身がどのような人物で、どのような経験を持ち、どのような研究活動に従事してきたかを伝えるところから始めます。

2. 応募理由

前述の質問の1つ目、応募する理由についてです。なぜ応募する大学院でPhDを取得したいのか、なぜそのポスドクの職に就きたいのか、そしてなぜ該当の分野に焦点を当てているのかなど、該当のプログラム/コースを選択している理由と、取り組もうとする動機をポジティブに記します。応募先の大学院を選択した理由も書き添えるとよいでしょう。大学院に特別な研究施設/設備があるか、一緒に研究に従事したい研究者がいるかなどに言及してみてください。

3. 自分の適正

これは前述の質問の2つ目への回答に当たります。あなたの興味、大学での研究経験、取得してきた知識が応募先のプログラム/コースや専攻分野に適合しているかは重要なポイントです。応募先の研究を理解しており、該当分野において自分が適性を有していることを実証する必要があります。

4. 専攻分野とキャリアとの関連性とキャリアプラン

大学で勉強したこと以外でも過去の活動から学んだこと、学外活動やインターン経験、就業経験などで、PhD課程あるいはポスドクの研究に活かせること、研究に関連付けできるものがあれば具体的に書き記します。また、PhD取得後、あるいはポスドク以降にどのようなキャリアプランを進めたいのか、具体的ではないにしても何らかのアイデアを考えておく必要があります。学内外に関わらず研究や教育に従事したい、学術界で働き続けたいなど、進みたい方向を考えておくとよいでしょう。

5. 興味・好奇心

あなたが該当分野に興味を持った理由や、興味につながったこれまでの学術経験を説明します。興味を持っているアイデアや、知的好奇心の対象についても示します。例を挙げてみるのも良いでしょう。

6. それまでの研究経験とスキル

履歴書(CV)に書いてあるとしても、関連する学術経験やスキルを明確に強調しておきます。特に、プログラミングやソフトウェアなどのITスキルや、研究のために役立つスキルについては言及すべきです。効果的なコミュニケーションや時間管理、ライティングに関するスキルも大きなプラスとなります。それらのスキルを示す例を挙げてみてください。

7. 過去における問題や課題への取り組み

大学での成績や過去の経験の中に「汚点」があるような場合には、そのような問題に取り組む姿勢を志望動機書に書き添えておくことをお勧めします。過去の研究における失敗、挫折などを克服してきた経験における経緯や克服方法を示すことによって、問題解決できる能力があることを伝えるのに役立ちます。

8. 校正と編集

これはポイントに入れるまでもなく、文章を書いたら提出前にすべきことです。特に、英語で書いた場合にはより慎重に確認を行うべきです。しかし驚くことに、誤字脱字やタイプミス、文法の間違いなど見直せば簡単に見つけることができるミスを残したまま提出されている文章が散見されます。自分の書き上げた文章の校正を、同僚や友人などの他者に依頼してください。志望動機書にミスが多いと、ずさんな研究者だと思われてしまう恐れもあるので、細部にも注意を払いましょう。また、字数制限がある場合にはそれに従い、きちんと範囲内で収まるように編集してください。

9. 学術経験に関連しない業務経験の書き方には配慮

ポイント6で経験とスキルを明確に示すようにと書きましたが、大学以外の就業経験がPhDあるいはポスドクへの応募の際に必ずしも役に立つとは限りません。就業経験が研究のモチベーションや研究題材に関連したものであれば素晴らしいのですが、関連しないものについて書く際には慎重に配慮しましょう。就業経験がプロジェクトマネージメントに役立つ可能性もありますが、学術研究という環境でその技能が職場同様に生かせるとは限らないことは念頭に置いておきましょう。

10. 志望動機書の共有

推薦状を書いてくれる人に志望動機書を共有しておけば、文面の作成に役立つとともに内容に整合性がとれます。志望動機書のドラフトができたところでフィードバックを求めておくのが妥当でしょう。推薦状を書くにも時間がかかるので、志望動機書を共有しておくことは役立つはずです。

ここに挙げたようなポイントを押さえつつ、PhD/ポスドク職に対する熱意を的確に伝えましょう。応募者には経験と知識、そして何をなすべきか、あるいは何を期待されているかを理解する力が求められます。さらに、学術研究の道には困難も伴うため、強い決意と不屈の精神が必要とされることも覚えておきましょう。最後に、志望動機書の提出先が異なれば、当然選択した理由や記載内容は違ってきますので、応募先のプログラム/コースに応じて書く必要があると書き添えておきます。あなたを他の応募者から際立たせ、資質、強い熱意が伝わるインパクトのある志望動機書に仕上げてください。

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