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第2回 伝える内容を「絞る」

プレゼン において聞き手としての経験があれば、‘詰め込み発表’がいかにわかりにくいか知っているはずです。発表者になったら、「結局何が言いたかったのかわからなかった」パターンに自ら陥らないよう、徹底的にシンプルな発表を目指しましょう。これだけでも、不慣れな英語を強力に補うことができます!

    1. 聞き手を知る

口頭発表で忘れがちなのが、聞き手を意識するということです。学会発表では、聞き手は発表者の研究領域の専門家である可能性が高いと思われます。しかし近年、学会はますます大規模化し、研究領域はますます細分化されていますので、聞き手は必ずしも発表者の研究領域を熟知していないことを想定したほうがよいかもしれません。発表が予定されているセッションのテーマや座長、発表者の顔ぶれをチェックして、聞き手を具体的に想定しましょう。

    1. “take-home message”を決める

口頭発表は論文と同様に、イントロダクション、対象または材料、方法、結果、考察、サマリーなどの要素で構成します。しかし、短時間に伝えられるように内容を絞り込む必要があります。その際にはまず、最も伝えたいメッセージを決めましょう。これは国際学会でよく“take-home message”と言われているものです。研究が複数の実験や試験からなる場合も、それらを統合したメッセージを引き出し、出来る限り簡潔な一文にまとめるのが望ましいです。

  1. サポートする情報を取捨選択する

“take-home message”が決まれば、発表の各要素はこれをサポートするのに必要最小限の内容に絞り込みます。情報やデータの取捨選択にあたっては、聞き手が必要とする内容に焦点を合わせると同時に、制限時間内にカバーできる量を考慮します。通常、「イントロダクション」は研究の動機や背景を伝えるために非常に重要ですが、聞き手が専門家のみであればむしろ簡略化すべき場合もあります。冗長になりがちな「対象/材料」「方法」はできるだけ簡潔にし、「結果」「考察」に十分な比重を置きましょう。必要に応じて「仮説」や「今後の展望」を述べる余地も残します。


キャラクター紹介:久里 夢存(Muzon Kuri)
日本の大学で材料工学を学び地元企業に就職するも、“独立型・移動式住居”開発の夢をあきらめきれず、再び大学でエネルギー工学を専攻。工学、生物学、建築学など多分野の研究者からなるプロジェクトチームに所属し、エネルギー自給型インフラストラクチャーフリー移動式住居[Self-Sufficient Camper(S.S.Camper)]を開発中。この度、国際住環境学会(“架空”)において同住宅の自然災害時における有用性について口頭発表することに・・。口演タイトルは、“Energy self-sufficient, infrastructure-free mobile house called Self-Sufficient Camper (S.S.Camper) provides both remote and on-site sheltering at times of natural disaster.”

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