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査読者の苦悩

国際的に認められた学会誌の査読者になるのは大変なことですが、その任務を全うするのはもっとたいへんなことです。自分の研究や家庭のこともあり、無償の査読の仕事が二の次になることもあるでしょう。ジャーナルの編集者のなかには、査読者が「もうすぐ終わるから」といい続けたため、他の査読者に依頼することもできず、半年以上もズルズルと査読作業が長引き、投稿してきた研究者には怒られ・・・という痛い思いをした人もいます。このようなことがないようにするためにも、いったん査読を引き受けたら、不必要な負担がかからないよう、気をつけましょう。
査読作業にはとくにマニュアルがあるわけではなく、自分に適した方法を作り出していく必要があります。以下、さまざまな人たちの意見を取り入れた提案をさせていただきます。
1. まず、大きな問題から取り組む
まずは論文を一通り読み流して、掲載を考慮するべきか却下するべきかを決めましょう。そのジャーナルの傾向とまったく違う、研究方法に穴がある、または表現があまりに稚拙であるなどの理由で、掲載の却下(リジェクト)を編集部に提案するなら、これ以上時間を費やす必要はありません。
2. 掲載可能だが大きな問題がある場合
一通り読んだ後、掲載は可能だが、分析方法や結果への導き方に大きな問題があると思われた場合には、その点に気をつけて、もう一度論文を読みましょう。このさい、編集部への提案理由が書けるように、必要事項とページ番号をメモしましょう。
3. 大きな問題もなく、掲載できる
この場合には、もしあなたに時間の余裕があれば、関連する先行研究の文献を紹介したりするなど、より細かい指導をしてあげたいものです。しかしこれはあくまでも「あなたに時間があれば」の話です。迅速に対応できない場合は、細かな指摘は避け、どうして掲載に値すると思うのか、その理由を簡潔に述べて編集部に報告しましょう。
4. 報告書は箇条書きで
日本人の私たちの場合、英語で「報告書」を書くだけで大変な作業です。最初に、自分の名前と査読した論文のタイトルおよび著者名を明記したら、自分がその論文の掲載を、(1)推薦しない、(2)条件付きで推薦する、(3)無条件で推薦する、かを書きましょう。理由は箇条書きでかまいません。その際、各箇条書きの最初か最後に、該当するページ番号を書けば、編集部の作業も軽減されますのでお忘れなく。

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