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【東京西徳洲会病院】山本龍一先生 インタビュー (後編)

各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。21回目は、東京西徳洲会病院の肝胆膵内科部長・内視鏡センター長・消化器病センター長の 山本龍一 先生。インタビュー後編では、若手研究者や学生に向けた熱いメッセージをいただきました。


■ 若手研究者の方々または研究職を志望する学生向けに、おすすめの英語勉強法があれば教えてください。

うーん、まずは英語の論文を数多く読むことでしょうか。電車の中でも、研究や授業の合間でも、スマートフォン一つあれば論文を読むことはできるので、自分の研究分野でよく使われている単語や表現はもちろん、英語論文の構成を学んでいくことが重要なのではないでしょうか。

医学の分野で言うと、症例の報告をする際にはPubMedを使用して、過去に似たような症例がどの程度書かれているのかを調べて、読み込んだ上でレビューを書いていきます。自分で一からオリジナルのものを作るのはまず不可能なので、やはり過去の論文をたくさん読んで、参考にして書いていくというのが上達の近道だと思います。大変ではありますが、読まないことには始まらないので。「○○ってこう表現するんだ」とか「この表現いいな」とか、そういった発見は自分の中に蓄積していきます。それらを使ってみて初めて自分のものになるというか、発表でも自然に使える表現になると思うので。やっぱり読むしかないですね(笑)。

■ スピーキングはどうでしょう。

会話はもう、とにかく話すことではないでしょうか。例えば僕の場合、近所に外国人が住んでるんですね。だから、すれ違った時にはなるべく声をかける(笑)。学会でも、海外のスピーカーに質問をしてみるとか、ディスカッションに勇気を出して参加してみるとか、どんどんしゃべるしかないですよね。留学が選択肢にないのであれば、そういったところで伸ばすしかないと思います。

■ 日本の研究者の中には、話したいのだけれど、自分の発音が気になってなかなか話しかけられない、といった方も少なくないようです。

その気持ちはすごくよくわかります。ただネイティブと話していると、彼らは相手の発音をあまり気にしていないように見受けられます。考えてみれば、アメリカ人と一言でまとめても、人種はまちまちです。人によって発音もまちまち。だから僕らのことも、アジア系の一人と思っているだけで、発音については気にしてないのだと思うんです。これは僕の場合ですが、英語には日本語に比べて丁寧語や謙譲語といった使い分けがそこまでないので、気がつけば外国人のほうが話しかけやすくなっていました(笑)。細かいことは気にせず、聞きたいことを聞き、言いたいこと言う。まだまだ発展途上の英語スピーカーの私が言うのもおこがましいですが、これが大事なのではないかと思います。

■ これから英語を学ばれる方ですとか、例えば自分たちの後輩に対して何かアドバイスがあれば。

僕が研修医や若い先生方にいつも言うのは、やっぱり留学せよ、ということです。最低2年、アメリカに留学したらいいよ、と。2年の間にみっちり英語力を上げるのと、多用な人や価値観に触れて視野を広くして欲しいという思いです。2年は無理だとしても、とりあえず海外に行って最先端の研究に触れることをお薦めします。あとは学位を取ること。

■ 博士号ですか。

はい。最近の学生や若手の医師を見ていると、学位に対してあまり興味がないというか、専門医になれればいいという人が増えているかなと思うのですが、僕は医学博士を目指してほしいと思っています。学位って単なる通過点に過ぎないとは思うんですけど、テーマを持って、背景を分析して計画を立てて、また統計学的に解析もして結論を出すという、一つのプロセスを学ぶことができます。これは何にでも応用できるプロセスです。論文を書くにしても同じ。その過程をしっかり体にたたき込む上で、学位というのはよい目標になるのではないかと。研究を論文という形にして発信する、という研究活動の基本とも言える流れを、学位取得のプロセスで学ぶことができるので。大学院に行っていない僕が、最もやっておけばよかったと思っていることです。

■ 本日は貴重なお話しをいただき、ありがとうございました。

 

【プロフィール】
山本 龍一 先生(やまもと りゅういち)
東京西徳洲会病院 肝胆膵内科部長・内視鏡センター長・消化器病センター長
2001年 防衛医科大学校卒業
2007年 上尾中央総合病院 消化器内科
2009年 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 入局
2013年 センメルワイス大学(ハンガリー) 留学
2016年 埼玉医科大学総合医療センター 消化器・肝臓内科 講師、外来医長
2017年 東京西徳洲会病院 肝胆膵内科部長、内視鏡センター長、消化器病センター長

 

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