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【駒澤大学】日野 健太 教授インタビュー(前編)

各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。十二回目は、駒澤大学の日野健太教授にお話を伺いました。組織におけるリーダーシップというテーマで理論・実証研究を進める傍ら、ご自身で翻訳作業も行っている日野先生から、論文を声に出して読んでみることが大事とのアドバイスをいただきました。


■研究室で扱っている専門分野、研究テーマを教えてください。
経営学、特に経営組織論です。組織におけるモチベーションやリーダーシップが主要なテーマです。
組織と言っても、モノやサービスを生み出す企業やNGOなどの仕組みとしての組織を研究対象としていて、その中での人にまつわる問題を中心に研究しています。経営学と言いつつ心理学的な要素もあって、アンケート結果を統計分析することもあります。
■英語論文の執筆や学会の発表、共同研究などにおいて、英語で苦労したご経験はありますか?
英語は決して得意ではなく苦手意識があったので、苦労しなかった経験はないです。教員になってから、外国語で発表してやろう、という気になったのですが、そもそも書き方がわからない。英語論文の本を買ってきて、参考にしながら書き始めました。表現方法を増やすという意味では、中学のころの英語の勉強のように「よく使う表現辞典」のような例文集をせっせと覚えるのも意外に大事です。ただ、プルーフリードに出すと修正されることがあるので、本に書かれているものがベストの表現だとは思いません。
論文は書き出しが特有で難しく、This paper examinesなどの書き出しすらわからずに悩むこともあるので、例文を見て参考にできるのは役に立ちました。
■書き上げた英語論文は、英文校正業者やネイティブスピーカーに見てもらうのですか?
英語論文を長年執筆している同僚から薦められた英文校正会社に依頼したことはあります。知り合いのネイティブの先生に頼んだことはないですね。
■研究発表でご苦労されたご経験はありますか?
口頭発表は2006年のベルリンが最初でしたが、あれは本当にきつかった。運悪く同僚らが聞きに来ており、かっこ悪いところを見せてしまいました。
唯一胸を張れるのは、きつくてもその後もめげなかったことですね。日本人研究者も多く参加するIFSAM(The International Federation of Scholarly Associations of Management:国際経営学会連合)が継続して開かれていたので-これは世界中の経営学の研究者が集まる国際的な学会ですが-ベルリン以降の大会にも参加し続けました。
■口頭発表で苦労したのは具体的にどのような点でしょうか?
とにかく原稿を読むのに必死で……。質疑応答やディスカッションのレベルには程遠く、質問にほとんど答えられなかったんです。それでも、どこか鈍いのかもしれませんが、めげませんでしたね。
初回の口頭発表は散々でしたが、在外研究のイギリス滞在などを経て、外国人の議論の仕方にも慣れていきました。それに、外国人に対しての気後れがだいぶなくなったのが大きかったです。その点では、1年間、海外に滞在した効果は否定できないと思います。
イギリス内での行き先は自分で探しましたが、そのときの履歴書に英語で口頭発表した経験を書けたのは心強かったです。発表の経験がたとえ2-3回でも、多少はできるんだという安心につながりました。「やった」ということが大事なのだと思います。


後編では、研究者を目指す若手の方に向けてのメッセージと英語力向上への秘訣をお伺いします。

【プロフィール】

日野 健太(ひの けんた)
駒澤大学 経営学部経営学科 教授
2003年 駒澤大学経営学部専任講師
2007年 同准教授
2009年 博士(商学)(早稲田大学)
2014年 経営戦略学会 理事
現在 駒澤大学経営学部 教授
近著:
・『Hatch組織論 -3つのパースペクティブ-』(共訳、同文舘出版)
・英語論文(共著)
Hino Kenta, Hidetaka Aoki, (2013) “Romance of leadership and evaluation of organizational failure“, Leadership & Organization Development Journal, Vol. 34 Issue: 4, pp.365-377, doi: 10.1108/LODJ-08-2011-0079

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