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自分が書きたかったことを、他人の論文で見つけました!

他人の論文を読んでいて、まさに自分が書きたかったことが書かれているのを見つけてしまったことはありませんか? とくに美しい英語で書かれている場合、「そうそう、それが言いたかったんだよ! すごいな〜、こういう風に書けばいいんだ」と思わず感動してしまう人もいると思います。そんな“すごい文”を集めたノートをつくって、ときどき開いては深いため息をついている人も……。「いつか私もこんなこと書きたい」と思いながら。
さて現実問題として、自分が言おうとしていたことと一字一句同じことをほかの論文で見つけた場合にはどうしたらよいのでしょうか?
それが新しい用語や簡潔に書かれた論旨だった場合は、「直接引用」文という形で自分の論文に取り込むことができます。新しい用語の場合、脚注で、誰がどの論文でどのような意味で使っている言葉なのかを説明すればよいでしょう。一文や一節を引用する場合は、引用文のあとに 「(Jones 2010:335)」というように、引用元の論文のページ番号まで併記するのが一般的です。また、複数の文を引用する場合は、引用元を説明したあと段落を変えて、 引用文だけの段落を構成するのが一般です。どちらの場合も、ジャーナルによって参照文献の書き方が違いますので、“直接引用(direct quotation)”という項目をよく確認してください。


さて、同じ部分が用語や文ではなく、研究命題そのものだった場合には、どうしたらよいのでしょうか? この場合は残念ながら、命題を変えることも考慮しなければなりません。命題を変更する場合は、すでに発表された論文を参照文献として、そのうえで一歩先の命題を考えるべきでしょう。既発表の論文の研究方法が間違っていると思われる場合は、同じ命題を使って、よりよい方法で研究をし直すことも可能ですが、結果がまったく同じ場合には出版が難しくなるという現実を念頭に入れておかなければなりません。
いずれにせよ、先行研究があるかどうかを、ある場合にはその内容をしっかりと調べるためには、Google ScholarPubMedScienceDirectなどの学術論文データベースを駆使する必要があります。
また、研究の途中や論文を書き始めたときにまったく同じ命題の論文を見つけた場合、投稿をあきらめる前に、2つの研究の間に相違点がないかをよく比較してください。たとえ研究結果が同じでも、研究方法や結果の解釈などが異なれば、出版できる可能性があります。しかしそのさいには、必ず既発表の論文を参照文献として取り入れ、自分の論文との比較を簡潔に行うことをお勧めします。

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