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研究発表から論文を作成して投稿しよう!

学会やシンポジウムなどで自身の研究内容を口頭発表することは、研究者としての経験上、とても大切なことです。しかし、ただ発表するだけでは発表者として講演要旨集に記録されるだけで、せっかくの研究内容は参加者や聴衆の思い出となって消えてしまいます。口頭発表をもとに論文を作成して出版すれば、恒久的に記録として残すことができます。しかも、シンポジウムの参加者だけでなく、より広い範囲の人々に届けることもできるのです。発表をもとにした論文作成のノウハウをお伝えします。
■ 研究発表と論文出版には大きな差がある
最初に注意しておきたいのは、シンポジウムなどで自身の研究を発表することと、論文として学術ジャーナルで発表・出版することには大きな違いがあるということです。シンポジウムで口頭発表しただけでは、学術ジャーナルに掲載される論文ほどの信頼性を得ることはできません。掲載に至るためには査読を経る必要があるため、他の研究者のお墨付きを得た内容として学術的価値が高まるのです。論文には研究の背景、手法、結果、考察、引用した文献までも詳細に記録することを前提としているため、出版された研究内容は後世まで残ることになります。これが、研究者としての実績を積み上げることにつながります。口頭発表と比べ、必要な労力は数十倍ですが、その苦労は、論文が掲載された際に報われることでしょう。
■ シンポジウムでの発表を出版する方法
では、研究発表の内容を論文に作成し直し、学術ジャーナルに投稿するには、どうすればよいのでしょうか。出版方法としては、以下の2つに分かれるようです。


主催者による出版-会議録(プロシーディング
学会またはシンポジウムの主催者が、会における発表内容をまとめるものを会議録(プロシーディング)と呼びます。会議録を作成する場合、主催者は、自らの責任ですべての発表者から原稿を集め、出版社に提供します。これが、学術ジャーナル1冊分に相当するボリュームになる場合もあります。
出版については、シンポジウムが開催される前に決定しているのが一般的で、発表者は、シンポジウム後に原稿を作成して提出するよう事前に求められます。そのため発表者は、最初から論文作成を念頭に置いて発表を組み立てておくと、後で文章にまとめやすくなります。
発表者による出版-自主投稿
主催者がシンポジウムのプロシーディングを出版する予定がない場合、発表者は自身の発表内容を論文としてまとめて出版することができます。この場合、発表者が自らの責任で適切な学術ジャーナルを選び、原稿を提出しなければなりません。ほぼすべての学術ジャーナルが、発表論文の投稿を受け付けています。
プロシーディングの出版が予定されていない場合、研究者は、どの学術ジャーナルに、どのような形で発表論文を掲載できるか、あらかじめ調査・計画しておくべきでしょう。研究発表を学術ジャーナルに掲載することは、出版実績となるだけでなく、より多くの人々に自分の研究を読んでもらう有効な手段です。ただし、シンポジウムでの発表前に出版社に論文を提出することは倫理違反ですので、十分ご注意ください。
■ 発表論文の書式
提出する論文が従うべき具体的な書式は、学術ジャーナルごとに決まっています。文字数も学術ジャーナルによって異なるものの、3000語から6000語といったところです。適当な図や表があれば、挿入するとよいでしょう。発表論文の書式は、次のような構成とするのが一般的です。

1. 要約
2. 導入
3. 本文(見出しや小見出しを付けて)
4. 結論
5. 参考文献

発表論文は、会場で配られる10分程度で読めるような簡単なものではなく、研究発表を詳細かつ深掘りした内容となるはずです。論文を書くことを念頭にしつつ発表の構成を考え、また発表で使う言葉をすべて書き留めておくことも、後で論文を作成する際に役立つでしょう。
■ 何よりも重要なのは
発表論文を投稿・出版することはとても大切ですが、何より重要なのは、学会やシンポジウムなどでの発表機会を逃さないよう、常にアンテナを張っておくことです。発表をすることは、自身の研究に興味を持っている聴衆に直接語りかける機会に、また新たに興味を持ってもらう機会になります。発表後の質疑応答で、思わぬ点に気づかされるかもしれません。まずは、自身の研究内容に適した学会やシンポジウムを検索するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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