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第15回 色覚バリアフリーを示すCUD認証マークとは?

より多くの人に伝わりやすく・わかりやすい、色覚バリアフリーなスライドを作るために覚えておきたい「CUD: カラーユニバーサルデザイン」について迫る連載シリーズ。第15回目の今回は、色覚バリアフリーの検証に合格した製品に添付される、CUD認証マークについてご紹介します。


日本国内にCUD (カラーユニバーサルデザイン)検証に合格した製品が増えています。「CUD認証マーク」の認知度はまだまだ高くありませんが、見つけたときには色やデザインに注目してみましょう。

    1. エコマークのような認証マーク

環境保全に役立つ商品につけられるエコマークのように、CUDO (Color Universal Design Organization: カラーユニバーサルデザイン機構) によりCUDの要件を満たしていると認められた製品には「CUD認証マーク」(図15)をつけることができます。対象は、各種印刷物、機器類、公共物、ウェブサイト、その他文具・教材・調理器具など多岐にわたります。
企業や自治体からCUDOに申し込みがあると、訓練を受けた各色覚型の検証員が検証を行います。パソコンのシミュレータは簡易なチェックには役立ちますが、色弱者が実際に感じている色を再現するものではないため、認定には当事者による検証が必須となっています。

検証のポイントとなるのは、1: 多くの人に見分けやすい配色をしているか、2: 色のみに依存しないデザインの工夫をしているか、3: 色の名前を用いたコミュニケーションが可能か(色名を記載するなど)、の3点です。問題点が見つかれば改善案を提示して再検証を行い、合格すれば合格証が発行され、「CUD認証マーク」の表示許諾が得られます。

  • 身の周りに増えるCUD対応製品

 

2004年のCUDO設立以来、企業の関心が高まり、CUD検証に合格した印刷物や製品が身の回りにどんどん増えています。CUDマークのついた学校教科書も増えました。CUD検証に合格した製品が必ずしも「 CUD認証マーク 」を表示しているとは限りませんので、一見そうとわからなくともCUDに対応しているケースもあります。
CUDに配慮したウェブサイトも少しずつ増えてきました。インターネットへの依存度が極めて高い今日、ウェブアクセシビリティを高めるために、ウェブサイトのデザインにおけるCUDは大切です。

 

  • 広がるガイドラインの整備

 

近年は、CRS(Corporate Social Responsibility: 企業の社会的責任)事業の1つとしてCUDを取り入れる企業が増えています。その場合は、単品レベルではなく、すべての製品について企画開発段階から全行程にCUDが効率よく徹底されるように内部のガイドラインが作成されるのが一般的です。政府機関や自治体においても、個別の案件レベルにとどまらないCUDのガイドライン作成が着実に広がっています

 

  • 知っていましたか?複合機のCUD機能

 

コピー、プリンター、スキャナー、ファクシミリなどの機能を備えた複合機。これを製造するメーカーはCUDの先進企業です。世の中のカラー化を推進する企業の責務として、早くから機器のCUD化に着手してきました。
機器の目立つ場所に「CUD認証マーク」がついているわけではないので、一般色覚型の人はほとんど意識していませんが、現在、身の回りにある複合機はほとんどがCUD検証に合格した製品です。操作性に関わるタッチパネル、製品メンテナンスに関わるレバー類の色使いなど、あらゆる色覚型のユーザーがスムーズかつ安全に操作できるように配慮されています。
さらに、メーカーによって、色弱者に見にくい赤色の文字をプリンタドライバで見つけて下線や網かけで強調する機能や、カラー文書を色弱者に少しでも見やすく変換する機能を備えたラインナップがありますので、身近な複合機の機能をぜひ確認してみましょう。

 


参考資料:
カラーユニバーサルデザイン機構(2009)『カラーユニバーサルデザイン』ハート出版
カラーユニバーサルデザイン機構(2014)『Season in the CUDO 2014年夏号』

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