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検索キーワード選定が論文の閲覧数を決める!

膨大な時間をかけてまとめた研究論文、どうせならより多くの人に読んでもらいたいですよね。そのためには、内容をインターネット上にアップするのが最も効果的です。ただし、SNSやサイトにただアップするだけでは、大きな効果は見込めません。Googleなどの検索エンジンで、自分の研究論文をいかに目立たせるか、つまり検索結果の上位に持ってこられるかが鍵となります。検索エンジン最適化(SEO対策)を実践することで、あなたの研究論文に圧倒的な注目を集めることができるかもしれません。
■ 膨大な検索対象データ
何か調べ物をしたいとき、私たちはGoogleなどの検索エンジンにキーワードを入れて調べることでしょう。研究者の場合は、研究関連の情報を検索する際に、学術系に特化した検索エンジンを利用することが多いようです。例えばPubMed。世界の主要ジャーナル、書籍、MEDLINE(1946年以降の学術誌に掲載された医学文献を蓄積したデータベース)に掲載された700万点もの医学系論文を検索し、該当論文の収録先に関する情報、要約、引用数まで調べることができます。また、Google Scholarは、検索キーワードに関連する論文を一覧で表示できます。
ただし、一般的な検索エンジンであれ学術系の検索エンジンであれ、検索対象となるデータは膨大です。これらの中から皆さんの研究論文を、一体どうやって見つけてもらえばいいのでしょうか。
■ SEO対策の進め方
検索エンジンで自分の論文を見つけてもらうための策として、研究論文のタイトルと本文にキーワードを入れ込んでいくのが有効です。該当するキーワードが検索されたときに、そのワードを含む論文を検索結果の上位に表示させるようにするのです。キーワードを選択する際は以下のポイントに注意しましょう。
1.論文のコンセプトを伝える言葉をキーワードとする
2.論文の件名やアブストラクト、見出し、図表、図表などの説明文すべてにキーワードを入れ込む
3.タイトルは端的に最低限の文字数に抑える
4.キーワードはよく検索に使われている語(検索ボリュームの多い語)を選ぶ
5.ウェブサイトやソーシャルメディアなどへのリンクをつける
6.3~4つのキーワードを選び、類義語も含め論文内に入れ込む
7.キーワードに人名や書籍名、認知度の高いイベント、特定の歴史的出来事または重要な言い回しなどを用いる場合は、正しく表記する
このように「キーワード」は、まさにSEO対策の「キー」となるものです。では、どのように決めればいいのでしょうか。


■ キーワードの選び方
検索されやすい語句をキーワードにするには、どのようなキーワードがよく使われているかを事前に調査するのが有用です。検索キーワード調査の一助となるツールをご紹介します。
Googleトレンド:Googleでの最新の急上昇ワードや人気の検索トピックについて調べることができます。キーワードとそのキーワードを含む語句がGoogleでどれだけ検索されているかも確認できます。国別、カテゴリー別の検索が可能です。
Googleキーワードプランナー:こちらはGoogle AdWordsに広告を出稿している広告主向けのツールなので、AdWordsアカウントを作成する必要がありますが、特定のキーワードや関連するキーワード、検索ボリュームを確認するのに便利なツールです。キーワードや広告グループの候補を検索して、キーワードの掲載結果の予測を確認できるほか、複数のキーワードを組み合わせて新しいキーワードを作成することもできます。
Keyword Tool:アカウントを作成しなくても無料で使用できるキーワード検索ツールです(検索ボリュームの取得は有料)。Googleだけでなく、YouTube、Bing、App Storeからもキーワードを含む掛け合わせワード(サジェストワード)を提示してくれます。検索キーワードを入力すると、キーワードの候補が表示されます。候補はよく検索される、すなわち検索ボリュームが多い順番に表示されており、これらのワードを一覧で確認することができます。
Google Correlation:隠れたキーワードを調べることができるツールです。サジェストワードのようなわかりやすい関連ワードではないものの、検索回数で高い相関があるキーワード、つまり一見つながりがなさそうな相関の高いワードを一覧で提示してくれます。
これらの検索キーワード調査ツールを活用することで、論文の内容を適切に盛り込むことができ、かつ検索もされやすいキーワードを決めることができます。ただし、よく検索されるキーワードは時代や時期によって変化していきます。どういうキーワードが検索されているのか、常にアンテナを張っておくことが重要です。したがって、キーワードは一度設定したら終わりではありません。実際に期待した効果が出ているかをモニタリングしていく必要があるのです。
■ 効果検証
効果をモニタリングするためのサービスもあります。例えば、ジャーナル出版社として有名なElsevier社は、論文著者向けに「CiteAlert」という、自社の出版物の中で論文が引用された場合にメールで知らせてくれるサービスを提供しています。またAltmetric社は、論文の引用数だけでなくソーシャルメディアやブログ等での紹介やコメント数など、論文の影響力を総合的に見る新しい論文評価指標「Altmetrics(オルトメトリクス)」を提供しています。これを用いれば、SNS等で自分の研究内容が取り上げられた場合、ほぼリアルタイムで知ることができます。オルトメトリクスを計測するソフトウェア・サービスは複数存在しているので、自分が使いやすいものを探してみるとよいでしょう。
こうしたサービスを活用することで、自分が行ったSEO対策が効果をあげているのか、もしくは期待した効果が出ていないのかの判断ができるようになります。キーワードを適切に選び、SEO対策をすることは、言うまでもなく、論文の影響力を増すことにつながります。検索結果の上位に表示され、簡単に見つけてもらえるようになれば、それだけ他の研究者によって引用される確率は高くなります。そして、引用されればされるほど、論文の信頼性は高まり、さらに引用されるようになります。皆さんも自分の研究内容に興味を持っている潜在的な読者に、確実かつ簡単に論文を見つけてもらえるよう、SEO対策を試されてみてはいかがでしょうか。

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